【管理栄養士監修】妊娠中に摂取したい栄養と食材の食事献立例

妊娠すると赤ちゃんの健康のため栄養バランスを考えた食事を心がける必要があります。

もしこれまで栄養や料理に興味がなかったならば、今がそれについて学ぶよいきっかけになることでしょう。

ここでは妊娠中にとりたい栄養素や食事の注意点などをご紹介します。おすすめレシピもご紹介していますのでぜひ参考にしてください。


中井エリカ(なかい えりか)
・管理栄養士
・FP2級


妊娠中に必要な栄養素は?

摂取したい
4つの栄養素とは?

 

妊娠中の栄養管理は、これから生まれてくる赤ちゃんの体の基盤を作る大切なもの。今までの食生活を見直して、栄養バランスのとれた健康的な食事を心がけましょう。

とくに妊娠したら積極的にとりたいのが、カルシウム・葉酸・鉄・たんぱく質の4つの栄養素です。

これらは赤ちゃんの体を作ったり、母体の健康のためにも欠かせない栄養素です。毎日の食事に優先してとりいれましょう。

葉酸

葉酸はビタミンB群の一種で、名前の通り菜の花やほうれん草、春菊などの葉物野菜に多く含まれています。


葉酸を妊娠前から十分に摂取しておくことで、「神経管閉鎖障害」という赤ちゃんの先天的な病気の発症を低減するという研究が報告されており、妊娠中は1日480μgの葉酸の摂取が推奨されています。

また、葉酸はビタミンB12とともに血液を作り、貧血予防や疲労回復にも効果があります。妊娠中は全期間を通して積極的に摂取しましょう。

熱や光に弱く、保存や調理の過程で損失しやすい栄養素ですが、ビタミンB12とともにとることで吸収がよくなります。

葉酸サプリ

カルシウム

カルシウムは赤ちゃんの丈夫な骨や歯を作るために必要不可欠な栄養素です。

日本人は欧米の人に比べて、慢性的にカルシウムが不足気味だといわれています。妊娠中はとくに積極的に摂取しましょう。カルシウムは乳製品や骨ごと食べられる小魚などに多く含まれています。

植物性の食品ではモロヘイヤや小松菜など、青菜類に多く含まれます。ビタミンDとともにとることで吸収率が高まるので、ビタミンDの豊富な魚介類やきのことともにとると効率よく摂取できます。

鉄は「血液のもと」である赤血球を作るために欠かせない栄養素です。

妊娠中は血液を通して赤ちゃんに栄養を運ぶため、より多くの鉄が必要になります。鉄が不足すると貧血になったり、出産時に出血が多くなる原因にもなります。


鉄は不足しやすく、また吸収されにくい栄養素でもあるのでとくに積極的に摂取していく必要があります。鉄は「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の二種類あり、ヘム鉄は赤身肉やレバーに、非ヘム鉄は小松菜やほうれん草などの青菜類に多く含まれます。

非ヘム鉄はヘム鉄に比べて吸収率が低いですが、ビタミンCとともにとることで吸収されやすくなります。

タンパク質

たんぱく質も赤ちゃんの体を作るために大切な栄養素です。

妊娠中は赤ちゃんの成長とともにたんぱく質の必要量も増していきます。肉、魚、卵、大豆製品は人の体内で作ることができない必須アミノ酸をバランスよく含む、良質なたんぱく質の食材です。

ごはんやパンなどでは必須アミノ酸が不足するため、これらのたんぱく質の食材とともにとることで栄養バランスが整います。


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妊娠中の食事で気をつけたいこと

バランスを考えて
食事を楽しむことが大切

 

妊娠中に意識してとりたい栄養素がある一方で、とりすぎると赤ちゃんの健康に悪影響が出る可能性のある食材もあります。

また妊娠初期のころはつわりなど、これまでと違う心身の変化により、思うように食事がとれない場合もあるでしょう。ママと赤ちゃんの健康のために、妊娠中の食事で気を付けたいことについてチェックしていきましょう。

妊娠初期は無理せずに

妊娠初期には食欲不振や吐き気、嘔吐などのつわりの症状が出ることがあります。

つわりには個人差があり、全くない人もいれば、出産まで続く人もいます。また、吐き気に襲われる「吐きづわり」や、食べていないと気持ち悪くなってしまう「食べづわり」、唾液の量が多くなる「唾液づわり」など、つわりと一口に言ってもいろいろなタイプがあるようです。

食欲がない時には無理せずに、食べたいものを食べたいときに少量ずつ食べるとよいでしょう。ストレスがたまると症状が強まるといわれるので、たっぷり休息をとることも大切です。

妊娠中に避けたい食材

食材によっては妊娠中にとりすぎると赤ちゃんの発育に悪影響を与えてしまうものもあります。

たとえばレバーやウナギに多く含まれるビタミンAは、妊娠初期にとりすぎると、胎児の先天性の奇形のリスクが高まることが報告されています。

通常の食事ではとりすぎることはありませんが、ビタミンAの多い食品を毎日たくさん食べるのは避けたほうがよいでしょう。

また、マグロやキンメダイなどの大型回遊魚には水銀が蓄積されており、胎児の中枢神経に影響を与える危険があるといわれています。週に1-2回程度が摂取の目安となっています。

コーヒーや紅茶などもカフェインによって赤ちゃんの健康に影響を与えてしまう危険があるといわれています。ただ、絶対にとってはいけないものではなく、1日1,2杯程度であれば問題ないといわれています。


基本的にはどれも絶対に食べてはいけないというものではないので、あまり神経質になりすぎないようにして、毎日の食事を楽しむことが大切です。

また、いろいろな食材をメニューに取り入れることによって、一つの成分をとりすぎるリスクを減らすことができ、なおかつ栄養バランスの向上にもつながります。

減塩を意識しましょう

妊娠中は塩分をとりすぎると妊娠高血圧症候群のリスクが高まります。

むくみの原因にもなるので減塩を意識した食事を心がけましょう。インスタント食品やできあいのお惣菜、漬物などは塩分が高めなので食べ過ぎないように注意が必要です。


お酢やレモン汁などの酸味を料理にプラスすると塩分を減らしても味がしっかりしておいしく感じるのでおすすめです。だしをたっぷり使った料理も減塩に効果があります。

また、野菜や果物などカリウムの多い食材をたっぷりとることも大切。カリウムには塩分の排出を促す作用があります。

妊娠中の献立

とりたい栄養素を
決めて献立しよう

 

妊娠中の食事は、これまで説明したことをふまえつつ、1日三食・バランスよくが基本となります。

とはいえあまり神経質に考えすぎてストレスになってはよくないので、その日食べ過ぎたものがあれば次の日減らすなど、数日単位で調整するとよいでしょう。

バランス良い献立のルールをマスターしましょう

献立の基本は「主食・主菜・副菜」がそろった食事です。

主食はごはんやパン、めん類などで、エネルギー源として重要です。主菜は肉や魚、卵などを使ったおかずで、たんぱく質や鉄分、ビタミン類の摂取源となります。野菜や海藻、きのこがメインの副菜からは食物繊維、ビタミン、ミネラル、などをとることができます。

理想は主食・主菜・副菜が二つ・汁物がそろった一汁三菜の食事ですが、難しい場合は一汁二菜、一汁一菜でも構いません。無理せず、できる範囲から始めていきましょう。

なるべく同じ食品が重ならないようにするのもポイントです。
その上で、これまで説明してきた妊娠中にとりたい栄養素や気を付けたい食材などを意識して献立を立てていきます。

一汁二菜の献立例

【主食】ごはん
【主菜】豚肉と春菊の炒め物
【副菜】きのこのマリネ
【汁物】とろろ昆布と玉ねぎのおすいもの


主菜は鉄分と葉酸が豊富な春菊をプラスして栄養価をアップ。副菜には食物繊維とビタミンDが豊富なキノコを。マリネにすることで、酸味で減塩効果があります。汁物は玉ねぎと、海藻類のとろろ昆布を。食物繊維やカリウムが摂取できます。

一汁一菜の献立例

【主食】じゃことわかめの混ぜご飯
【副菜】きゅうりとトマトのもずく酢
【汁物】鮭と根菜の具だくさんお味噌汁


主菜を抜いている分、汁物を具沢山にして栄養バランスをアップさせています。魚などのたんぱく源となる食材を加えるのがポイントです。
ごはんにはじゃこと昆布を混ぜて、カルシウムなどのミネラルをプラスしました。

《おすすめレシピ》

■じゃことわかめの混ぜご飯

【材料】一人分

  • 炊き立てのご飯 1膳分
  • 乾燥わかめ 大さじ1弱
  • ちりめんじゃこ 大さじ1
  • みりん 小さじ1/2
  • 塩 ひとつまみ
【作り方】
①乾燥わかめは水で戻し、水気をよく絞ったら包丁で細かく刻む。
②炊き立てのご飯に①とちりめんじゃこ、みりん、塩を加えてよく混ぜたら出来上がり。

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まとめ

食事は毎日のことなので、頑張りすぎてストレスをためないことも大切です。

体調によっては食事がとれなかったり、反対に食べ過ぎてしまうこともあるでしょう。神経質に考えすぎず、数日単位でみて栄養バランスが整っていれば大丈夫。

食事は楽しむことが一番大切です♪ご紹介したレシピもぜひ作ってみてくださいね。


中井エリカ(なかい えりか)
・管理栄養士
・FP2級


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